2013年4月8日月曜日

ケニアGEM EAST村のご紹介(2)

昨日に続いて、ゲムイースト村のご紹介をいたします。
私たちはGEM EAST村が正確にどこにあるのかわかりませんでした。地図で探してみてもケニアの場合、村の名前などは載っていないのです。近くの町や宿泊するホテルの場所はわかっているので、そこから地図上の道路を辿ろうとしても全く無理でした。

2012年のキャンプの際、アサンテの役員がGPS測定器を持っていき、正確な緯度と経度がわかりました。Google Earthなどに入力すれば、衛星写真でかなり細かく見ることができて、とても感慨深いものがありました。ホテルから村までは車で1時間以上かかります。舗装されていない赤土の道路はかなり揺れて、辛いものがあります。そのホテルから村までがわずか10キロほどしかないことを知った時は驚きました。


上の地図の赤いAの印がゲム村です。西にホーマベイ、東にはキシイという町があります。北に行くとキスムです。キシイにはスーパーマーケットがあり、私たちは毎日そこでミネラルウォーターなどの買い出しをします。品ぞろえはなかなか充実しています。しかし、村の人たちがそこで買い物をすることはないでしょう。10キロ以上歩いてこなくてはいけませんし、そもそも現金を殆ど持っていないからです。

ケニアの村の生活は、どこに行くにも歩いていかねばならず、歩いて行ったとしてもお金がないので何も買えません。村では現金収入を得る手段が限られているのです。病気になっても診療を受けることは非常に困難です。
昨年の医療キャンプで村の人たちに最も喜ばれたのは歯科医でした。意外に思われるかもしれませんが、村でも虫歯が多いのです。歯科の診療費は高額で、どんなに痛くても診療を受けられず、自分で抜歯したような痕も見られたそうです。


ケニアの医療制度

ケニアでは、公立の医療機関を大きく6つのレベルに分けています。
レベル1 家庭内セルフケア/コミュニティヘルスワーカー(CHW)によるケア
レベル2 コミュニティの診療所
レベル3 ヘルスセンター/産科施設/介護施設
レベル4 地域病院
レベル5 州立病院
レベル6 国立病院

医師が常駐するのはレベル4からで、それ以下のレベルでは看護師やクリニカルオフィサー(医師の資格は無いが、専門学校で教育を受けた医療従事者)が地方の医療を任されています。
ゲム村の近くで一番良い病院といえば、キシイにあるKisii Level 5 Hospitalになります。この病院は、2011年に日本の援助で立派な病院に建て替えられ、施設もこの地域では一番近代的で設備も整っています。

在ケニア日本国大使館の記事
http://www.ke.emb-japan.go.jp/20110624-j.html

レベル4は、日本での市民病院のような位置づけで、地域医療の中心となり、入院施設もあるのですが、多くの所は医師が2-3人いるかいないかといった感じでだそうです。
村の人たちにとっては、レベル4の病院でさえ、アクセスが悪く、費用の問題もあり、実際にはレベル2や3の施設で、医師ではなく、看護師やクリニカルオフィサーの診療を受けることになります。そしてヘルスセンターや診療所のレベルの施設もゲム村にはありません。

SOFTKENYAというサイトにケニアの様々なデータが紹介されています。
http://softkenya.com/homa-bay-county/

ゲム村のあるホーマベイ郡は人口約100万。ホーマベイはHoma Bay、Suba、Rachuonyoの3つの区域に分けられるようで、ゲム村は内陸のRachuonyoに属すると思われます。
ホーマベイ郡全体で医療施設は164あります。
District Hospitals (4), Sub-District Hospitals (7)とありますので、医師が駐在している施設は11しかないのでしょうか。


医師の人口に対する割合は、Homa Bayが38,707人に対して医師が1人、Subaでは85,000人に対して1人、Rachuonyoに至っては人口150,000人に対して1人しか医師がいません。
ナイロビでは23,000に対して1人ですから、農村では首都の6~7分の1しか医師がいないということになります。

ちなみに日本では、平成22年度の保健統計によれば、病院数は人口10万あたり約7、診療所数は約78、医師の数は約210となっています。ケニア奥地の農村における医師の数は日本の約300分の1ということになるのでしょうか。


日本と比較しても仕方ないかもしれませんが、少なくともナイロビと比べて、ゲム村の環境がいかに劣悪かということはご理解いただけるのではないでしょうか。


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