2013年4月23日火曜日

2013年度 講演会のご案内

ホームページの活動計画でもご案内しておりました2013年度の講演会の開催が決まりましたので、ご案内申し上げます。

今年度は(株)現代建築研究所の吉田啓一先生をお招きし、「アフリカの今-建設支援の取り組み方から課題を探る」と題してご講演を頂きます。
アフリカ支援 アサンテナゴヤは、現在ケニアの農村ゲム・イースト村にコミュニティセンターの建設を計画中ですので、今回の演題はタイムリーで、参考になるお話を聴かせて頂けることと思います。アフリカへの支援に関心のある方はぜひご参加下さい。

当NPOの理事の内海眞からも、専門分野である「HIV/AIDSの基礎知識」および「ゲム村コミュニティセンター建設について」のお話をさせて頂きます。


2013年度 アフリカ支援 アサンテナゴヤ講演会

「アフリカの今-建設支援の取り組み方から課題を探る」
(株)現代建築研究所 吉田啓一

講演の要旨

小学校校舎、ヘルスセンター、井戸など小規模施設の建設では、支援する側と支援を受ける側とがさまざまな取り組みを行ってきた。
シエラレオネ、スーダン、ネパールの事例をもとに、現地の省庁とJICA/コンサルタントが計画し、①日本の建設会社が施工、②現地の建設会社が施工するタイプと、現地の省庁/JICAの合意を受け、コンサルタントまたは外国やローカルのNGOが村の住民と共同で計画し、③建設に住民が労働を提供、④支援側は最低限の資金提供とソフト(住民組織作り、地域の問題・開発ニーズ分析、会計)とハード(設計図、積算書作成など)のお手伝いを行い、住民が建設を実施、⑤④に加えて、スタデェービジットやトレーニングを行い、住民/コミュニティの能力開発を促し、さらに、現地の省庁や事務所とつながりを形成し、地域の持続的な開発/運営に導くタイプの取り組みがある。
村へのインパクト、支援する側受ける側が学んだこと、持続的開発の視点で見た課題などプロジェクト事例から学ぶ。

「HIV/AIDSの基礎知識」
「ゲム村コミュニティセンター建設について」
アサンテナゴヤ 副理事長 内海 眞

日  時 平成25年5月18日(土)14:00~16:45(受付開始 13:30~)

場  所 名古屋都市センター(金山総合駅南口 詳細は下記をご覧下さい)

参加無料 先着50名様

事務局:〒461-0004 名古屋市東区葵1-25-1ニッシンビル906  TEL 052-933-1588

参加申し込み方法

講演会参加申し込みはE-mailにて承ります。
E-mail : africa@asante-nagoya.com

お名前、ご連絡先が必要です。いただいたアドレスへ事務局から返信いたします。
4日以上経ても返信が届かない場合はお手数でも事務局までご一報下さい。

申し込み期日は5月12日(日)とさせていただきます。
尚、一定数に達した場合はご参加をお断りする場合もございます。ご了承下さい。


会場案内

名古屋都市センター 受付開始 13:30~


住所: 〒460-0023 愛知県名古屋市中区金山町1丁目1−1 金山南ビル 14F
TEL 052-678-2200
 
ホテルグランコート名古屋、ボストン美術館の入っているビルです。
入口は1Fです。都市センター専用エレベーター(シースルー)をご利用下さい。














皆様のご参加をお待ち申し上げております。








2013年4月10日水曜日

ケニアGEM EAST村のご紹介(3)~現地NGOのこと~

私達NPO法人アフリカ支援 アサンテナゴヤは、ケニア奥地の農村での支援活動を現地NGOのルーネルドと連携して行って参りました。
私達が農村に行って医療活動ができるのは、ルーネルドが事前にきちんと準備をしてくれるからです。コミュニティ内に根回しをし、村人にキャンプについて広告してくれています。キャンプではルーネルドが集めたボランティアの人たちが、私達のために現地の言葉(スワヒリ語かルオー語)から英語に通訳してくれます。私達は日本からボランティアでケニアまで出向いて行きますが、ケニアの側でも大勢の人が仕事を休んで、ナイロビなどから奥地の農村までやってきて、キャンプに協力してくれています。ルーネルドのメンバーとボランティア無しにはキャンプの運営は不可能です。

アフリカに限らず、NGOの中には支援活動を悪用して私腹をこやす人たちもいるそうです。海外から支援を受けるということは、彼らの側からすれば大変な利権ですので、支援する側もよくよく気をつけなくてはなりません。またケニアの人たちは"ポレポレ"というのでしょうか、仕事のやり方が非常にルーズで、日本人の感覚では信じられないようなこともしばしばあると聞きます。
私達のパートナーのルーネルドは、その点とても真面目で、信頼がおける人たちです。コミュニケーションがうまくいかないことはもちろんありますが、彼らの村の生活の改善のための奉仕に対する純粋さを疑ったことはありません。


2009年にアサンテナゴヤは初めてゲム村を訪れました。村の人たちやルーネルドと話し合い、彼らが望んでいる支援は何かと聞きました。
彼らが望んでいるのは、クリーンな水とドロップインセンターの建設でした。

それはどちらもたくさんのお金が必要なプロジェクトです。NPOとして、簡単に約束できるようなものではありません。私達は、まずは医療キャンプの実施を優先しました。
その後、2010年から2012年まで、毎年無料医療キャンプを実施しました。今年も9月にケニアに行く予定です。今回で4回目のキャンプとなります。
これまでの間、クリーンな水とドロップインセンターのことを忘れたことはありません。

私達が驚いたのは、昨年2012年のキャンプの時です。
ルーネルドの創立メンバーの1人メリーのパパ。ルーネルドの理事であり、牧師としてゲムイースト村の有力者でもあるパパが、センターを建てるための土地を取得していたのです。
それまで医療キャンプは、村の土地を借りて行っていました。それが2012年はルーネルドが所有する土地で開催されたのです。
私達は、ドロップインセンター建設に対する彼らの強い思いを知りました。

その後、パパからセンターの図面と見積もりが送られてきました。
3回のキャンプを経て、私達アサンテナゴヤはルーネルドを信頼できるパートナーであると認識するようになっていました。
今年2013年の初めから、私達はドロップインセンター建設の具体的な打ち合わせを始めました。ルーネルドの創立メンバーの1人、ダグラスさんと頻繁にメールで意見交換をしています。



私個人は、ドロップインセンターのことがまるでわかっていませんでした。ドロップインとは「立ち寄る」という意味ですから、村の人たちが立ち寄ることのできる集会所のようなものだろうかと思いましたが、集会所を立てて、それが村人の健康にどうつながるのかわからなかったのです。

ダグラスさんに色々と質問をしたり、インターネットでケニアの医療制度を調べたりしているうちに、彼らはレベル2か3の医療施設を作りたいと思っているということがわかってきました。
彼らは私達が想像していたよりずっと綿密に計画を進めていて、政府の援助を得るために担当の役人とコンタクトを取ったりしていました。
センターを建てて、医療機関として認可されれば、看護師やクリニカルオフィサーといった医療従事者を派遣してもらえます。
先回ご紹介したように、ケニアではこうした施設がコミュニティの医療を担っているのです。


ドロップインセンターで提供されることを想定されているのは以下の通りです。
a)HIVのカウンセリングと検査
b)HIVの母子感染予防
c)外来患者の治療
d)予防接種
e)子供の病気の総合的管理

上記のことができる施設が村に出来たら、それは村においては大きな変化です。
HIV/AIDSについての啓発活動、HIV陽性者に対するフォロー、感染症を防ぐ衛生に関する情報の提供、外来による診療、子どもの健康維持活動など、現在のゲム村では得ることのできない医療サービスを提供できます。

ドロップインセンター建設の意義、ゲムイースト村の現状を、皆様方によくご理解頂き、ぜひともご支援を賜わりたいと思っております。
よろしくお願い申し上げます。

特定非営利活動法人アフリカ支援 アサンテナゴヤ 入会・寄付のご案内
http://asante-nagoya.com/aboutus.html




2013年4月8日月曜日

ケニアGEM EAST村のご紹介(2)

昨日に続いて、ゲムイースト村のご紹介をいたします。
私たちはGEM EAST村が正確にどこにあるのかわかりませんでした。地図で探してみてもケニアの場合、村の名前などは載っていないのです。近くの町や宿泊するホテルの場所はわかっているので、そこから地図上の道路を辿ろうとしても全く無理でした。

2012年のキャンプの際、アサンテの役員がGPS測定器を持っていき、正確な緯度と経度がわかりました。Google Earthなどに入力すれば、衛星写真でかなり細かく見ることができて、とても感慨深いものがありました。ホテルから村までは車で1時間以上かかります。舗装されていない赤土の道路はかなり揺れて、辛いものがあります。そのホテルから村までがわずか10キロほどしかないことを知った時は驚きました。


上の地図の赤いAの印がゲム村です。西にホーマベイ、東にはキシイという町があります。北に行くとキスムです。キシイにはスーパーマーケットがあり、私たちは毎日そこでミネラルウォーターなどの買い出しをします。品ぞろえはなかなか充実しています。しかし、村の人たちがそこで買い物をすることはないでしょう。10キロ以上歩いてこなくてはいけませんし、そもそも現金を殆ど持っていないからです。

ケニアの村の生活は、どこに行くにも歩いていかねばならず、歩いて行ったとしてもお金がないので何も買えません。村では現金収入を得る手段が限られているのです。病気になっても診療を受けることは非常に困難です。
昨年の医療キャンプで村の人たちに最も喜ばれたのは歯科医でした。意外に思われるかもしれませんが、村でも虫歯が多いのです。歯科の診療費は高額で、どんなに痛くても診療を受けられず、自分で抜歯したような痕も見られたそうです。


ケニアの医療制度

ケニアでは、公立の医療機関を大きく6つのレベルに分けています。
レベル1 家庭内セルフケア/コミュニティヘルスワーカー(CHW)によるケア
レベル2 コミュニティの診療所
レベル3 ヘルスセンター/産科施設/介護施設
レベル4 地域病院
レベル5 州立病院
レベル6 国立病院

医師が常駐するのはレベル4からで、それ以下のレベルでは看護師やクリニカルオフィサー(医師の資格は無いが、専門学校で教育を受けた医療従事者)が地方の医療を任されています。
ゲム村の近くで一番良い病院といえば、キシイにあるKisii Level 5 Hospitalになります。この病院は、2011年に日本の援助で立派な病院に建て替えられ、施設もこの地域では一番近代的で設備も整っています。

在ケニア日本国大使館の記事
http://www.ke.emb-japan.go.jp/20110624-j.html

レベル4は、日本での市民病院のような位置づけで、地域医療の中心となり、入院施設もあるのですが、多くの所は医師が2-3人いるかいないかといった感じでだそうです。
村の人たちにとっては、レベル4の病院でさえ、アクセスが悪く、費用の問題もあり、実際にはレベル2や3の施設で、医師ではなく、看護師やクリニカルオフィサーの診療を受けることになります。そしてヘルスセンターや診療所のレベルの施設もゲム村にはありません。

SOFTKENYAというサイトにケニアの様々なデータが紹介されています。
http://softkenya.com/homa-bay-county/

ゲム村のあるホーマベイ郡は人口約100万。ホーマベイはHoma Bay、Suba、Rachuonyoの3つの区域に分けられるようで、ゲム村は内陸のRachuonyoに属すると思われます。
ホーマベイ郡全体で医療施設は164あります。
District Hospitals (4), Sub-District Hospitals (7)とありますので、医師が駐在している施設は11しかないのでしょうか。


医師の人口に対する割合は、Homa Bayが38,707人に対して医師が1人、Subaでは85,000人に対して1人、Rachuonyoに至っては人口150,000人に対して1人しか医師がいません。
ナイロビでは23,000に対して1人ですから、農村では首都の6~7分の1しか医師がいないということになります。

ちなみに日本では、平成22年度の保健統計によれば、病院数は人口10万あたり約7、診療所数は約78、医師の数は約210となっています。ケニア奥地の農村における医師の数は日本の約300分の1ということになるのでしょうか。


日本と比較しても仕方ないかもしれませんが、少なくともナイロビと比べて、ゲム村の環境がいかに劣悪かということはご理解いただけるのではないでしょうか。


2013年4月7日日曜日

ケニアGEM EAST村のご紹介


NPO法人アフリカ支援 アサンテナゴヤは2009年以来、ケニア奥地の農村の支援を行っています。主な活動は毎年9月に実施している無料医療キャンプですが、それ以外にも様々な支援活動を実施しています。

GEM EAST村ではほぼ自給自足の生活をしており、村の人たちは医療の恩恵を受けることができません。ですから毎年のキャンプではいつも多くの患者さんが早朝から列をなし、大変喜ばれています。



私は鍼灸師として2011年のキャンプに参加し、帰国後アサンテナゴヤの理事に就任させていただきました。キャンプに参加した時は、鍼灸師として何かボランティア活動ができたらという思いだけで、ケニアといってもサファリやマサイという言葉くらいしか浮かばない有様でした。
今は認識が深まったとも言えないのですが、日々現地NGOの方々とメールでやり取りする中で感じることなどもあり、私たちが見聞きしたケニアの農村のことを皆さまにご紹介し、現状をご理解頂き、ひいてはアサンテナゴヤの活動についてもご理解いただく一助になればと思い、GEM EAST村のご紹介を試みる所存です。

ケニアはWikipediaの説明によると
ケニア共和国は、東アフリカに位置する共和制国家で、イギリス連邦加盟国である。
北にエチオピア、北西に南スーダン、西にウガンダ、南にタンザニア、東にソマリアと国境を接し、南東はインド洋に面する。
首都はナイロビ。旧イギリス植民地。
とあります。


首都ナイロビは、アフリカ有数のグローバル都市であり、人口300万人以上。赤道に近い割に標高が高いので、意外に過ごしやすい気候です。
国際空港もあり、東アフリカの玄関といえる中心的都市です。近年は海外からの投資も活発で、高い経済成長率を誇っています。




GEM EAST村はナイロビから内陸に300キロ入った、ヴィクトリア湖近くの奥地にあります。
左の地図にKisumuとあるのがケニア第3の都市キスムで、その近くです。
2010年のキャンプではナイロビから国内線でキスムまで行き、そこから村の近くにあるホテルまで車で移動したのですが、道路の状態が劣悪で、狭い車の中で何時間も揺られることとなり、難渋いたしました。
ですから近くとはいっても、日本の感覚とは全く異なります。


現地協力団体RUNELD

ケニア奥地の農村で私たちが無事にキャンプを実施できるのは、現地のNGOルーネルドとの協力関係があるからです。元々は、主要メンバーの友人である日本人女性の仲介で彼らと出会い、GEM EAST村と縁ができました。NGOの中には、国際支援を利用して私腹をこやすような人たちも少なくないそうですが、ルーネルドはとても誠実な方たちです。私たちはこの出会いにとても感謝しています。

ルーネルドは正式名称はRural New Life Development (RUNELD) といいます。大都市の発展に取り残された農村の生活状況を改善することを目的として、特にHIV/AIDSの問題に取り組んでいます。

村ではHIV/AIDSの感染率が高く、アサンテナゴヤによる検査においても、ナイロビの2~3倍の陽性率です。

ネット検索をしていたら、AMREFという団体がホーマベイというGEM EAST村の近くの都市における状況について書いている記事を見つけました。ご参考にしていただきたく、ご紹介します。

ケニアには65万人のHIV/AIDS孤児がいて、その内1万6千人がビクトリア湖畔のホーマベイ地域に住んでいる。
このケニア奥地は健康に関して、ケニアで最悪の状況である。医療施設はHIV/AIDS患者の数に対して不十分であり、またアクセスも困難である。治療効果のある薬剤と医療の専門家がともに不足していることが事態をさらに悪化させている。
HIVはホーマベイにおいて最高潮に蔓延しているが、その原因はWife Inherirance(未亡人が亡夫の兄弟などの近親者と再婚すること)や一夫多妻制などの風習で、そのせいで複数のパートナーと性交渉を持つこととなり、HIV/AIDSが広まってしまう。
ヴィクトリア湖の近くなので、この地域では漁業が主な収入源である。通常、男性は漁に出て、収穫した魚を女性に売る。女性は買った魚を市場で売る。極度の貧困ゆえ、この取引に性交渉が含まれるのは一般的なことだ。そしてHIV/AIDSの蔓延が加速される。結果として、ホーマベイには沢山のエイズ孤児と未亡人が残ることとなる。
http://www.amrefusa.org/what-we-do/orphans-and-widow-support-project--homa-bay-kenya/


GEM EAST村は農村ですが、HIV/AIDSの蔓延に関する基本的な構造、すなわち風習と貧困に関しては同様の状態であろうと思われます。ホーマベイは都市であり、GEM EAST村は僻地です。医療機関や保健衛生に関する情報へのアクセスはさらに限られたものとなります。

私たちは微力ではありますが、こうした村の状況を少しでも改善すべく、現地の人たちと協力して活動を続けています。